理化学研究所 100年目の巨大研究機関(山根 一眞)

2017年で設立100年を迎えた「理研」の歴史が10個のエピソードで綴られています。日本の科学を牽引してきた最高峰の研究機関だけあり研究成果は多岐にわたり、どのエピソードも知的好奇心が満たされます。

著者である山根一眞さんはジャーナリストです。1991年以降『週刊ポスト』で日本の各分野のモノづくりを支える技術者・専門家へのインタビュー連載を784回にもわたって行い、全15巻にも及ぶ『メタルカラーの時代』として書籍にまとめられています。

第一章では、理研の森田浩介さんのグループが元素番号113の元素の合成に成功し、アジアで初めて命名権を獲得した物語から始まります。合成に二度成功してから10年以上の時を経てやっと新元素と認められ、「ニホニウム」と名づけられるまでの研究者たちの葛藤が当時の学会の様子とともにわかりやすく語られ、引き込まれます。

第二章は、理研の設立から今日に至るまでの歴史がその時代時代の理研リーダーの足跡とともに語られます。

高峰譲吉: アドレナリンの発見等で世界的に知られる化学者。100年前、日本に独創的な理化学工業を育てるため、基礎となる研究所の創設を提唱した人物です。

大河内正敏: 研究成果を次々と事業化し、「理研コンツェルン」と呼ばれる巨大企業集団を形成することで、理研の財政難を救った革新的な所長です。

仁科芳雄: ノーベル賞を受賞した朝永振一郎や湯川秀樹を育て上げ、自身も原子核研究に不可欠なサイクロトロン(粒子加速器)の完成に尽力しました。

二度の大戦など困難な時代にもかかわらず学問に対してひたむきな科学者たちの姿に心打たれます。

第三章以降もスパコンやバイオといった幅広い分野の研究について書かれます。短編集のように、少しずつ噛み締めながら読みたい本です。


理化学研究所 100年目の巨大研究機関 (ブルーバックス) [ 山根 一眞 ]

コメント

タイトルとURLをコピーしました