歴史のドラマでエルニーニョが理解できる
気象予報士試験の定番テキスト『一般気象学』の終盤に登場するエルニーニョ現象。「ペルー沖の海面水温が上がるんだっけ、下がるんだっけ……?」と、いつも頭がこんがらがっていました。
しかし、この本を読んでからはエルニーニョがどういう現象なのか、この現象がいかに現地の天候だけでなく、太平洋の風や海流、アジアのモンスーン、さらには遠く離れた地域にまで世界的な異常気象をもたらす原因になるのか、頭の中ですっきり整理できるようになりました。本書では、エルニーニョやラニーニャが世界の歴史をいかに動かしてきたかが「5つのドラマ」として語られており、気象が地球規模で連動する仕組みが物語として頭に入ってくるからです。
たとえば第一章では、16世紀のスペイン人によるペルー征服の裏側が描かれます。2回目の挑戦では2年もかかった沿岸の南下が、3回目にはわずか13日間で成功。その理由は、ちょうど発生していたエルニーニョによって、行く手を阻む南からの海流と逆風が弱まっていたから、という学説が紹介されています。
また第三章では、太平洋のエルニーニョが数ヶ月遅れてインド洋に波及するドラマが語られます。インド洋の海面水温が上がると、陸との温度差が縮まって南西モンスーン(季節風)が弱まり、雨季の降水量が激減してしまいます。これが、過去にインドで大規模な飢饉が何度も繰り返された原因のひとつだったのです。
終章では、氷河期や地球の公転軌道の変化など、数万年単位の壮大な縦軸へと視点が広がります。
エルニーニョの世界にどっぷり浸ってください。
世界史を変えた異常気象 -エルニーニョから歴史を読み解く-(田家 康)
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